内視鏡検査について

定期的な健康チェックで、

病気の早期発見・早期治療を心がけましょう。

 日本はもともと欧米と比較して胃癌の罹患率・死亡率が昔から高いのですが、最近では食生活の欧米化に伴い、大腸癌の罹患率や死亡率が欧米先進諸国を追い越して増加しています。その理由は、日本の患者さんの検診受診率が低いからです。日本の癌死亡の過半数は消化器の癌で占められています。近年の内視鏡機器や技術の進歩はめざましく、昔と比べると苦痛が大幅に軽減し、検査精度は劇的に向上しています。

◎胃の内視鏡検査

 

 現在、検診においても、バリウムの検査に代わって内視鏡検査が主流になって来ています。内視鏡は細くなり苦痛が軽減し、また、高画素拡大電子内視鏡が登場し、造影検査で診断できない小さい病変や平坦な病変も早期に見つけ、詳細に診断できることが可能になっています。さらに、胃の検査のついでにのどや食道もチェックすることが可能であり、早期の咽頭癌や食道癌を早期に診断することも出来るようになりました。内視鏡検査は造影検査と異なり、異常があればその場で組織を採取して病理学的検査を行うことも可能です。

大腸内視鏡検査

 

 大腸内視鏡検査は、新しい前処置薬の開発と挿入技術の向上により、現在大腸のスクリーニング検査として全国に普及しています。内視鏡により、ポリープ以外の造影検査では見つけにくい平坦型早期大腸癌がたくさん見つかり、内視鏡で治療できるようになりました。平坦型腫瘍は悪性度が高く大腸癌のメインルートの1つでもあり、内視鏡検査による早期発見・早期治療は大腸癌撲滅に重要です。一般に大腸は長く屈曲が多いため、大腸内視鏡検査は時に苦痛を伴うこともありますが、専門医が行うと苦痛はほとんどなく検査時間も10分前後で済みます。また、状況に応じて、ダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡による大腸の検査も可能ですから、主治医の先生にご相談下さい。

◎内視鏡を用いた癌の治療

 

 消化管内視鏡の進歩は診断能の向上だけでなく、治療の進歩がめざましい今日この頃です。早期の食道癌、胃癌、大腸癌は、外科手術や抗がん剤を使用しなくても、大きさにかかわらず内視鏡を用いて病巣の完全切除(根治)が可能です。がんは痛みや出血などの症状がでてからでは手遅れになることもあります。胃腸を内視鏡で定期的にチェックしておけば、運悪く癌が出来ても、ほとんどの場合命を落とすようなことはありません。

 内視鏡検査は意外と簡単で楽なものです。希望されれば、鎮静剤や麻酔薬の使用も可能です。健康を守るために積極的に内視鏡で胃腸のチェックを受けましょう。わからないことは、専門医にご相談下さい。

監修・記事提供/広島大学病院 内視鏡診療科・IBDセンター 教授 田中  信治 先生

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